東京とんかつ会議 第86回 「とんかつ棟田」 上ロースカツ定食(1680円)
肉2、衣2、油1、キャベツ2、ソース2、御飯3、新香2、味噌汁2、特記1メンチカツ 17点(各項目3点満点、特記項目含め25点満点)
多くのフライ料理を揃え、この街に愛されようと頑張っている様子が伝わる店である。そのせいだろう。多くの地元客が開店と同時に訪れ、またはテイクアウトでフライ料理を持ち帰っていく。
上ロースカツは、やや肩ロースよりのロース肉を使われているのだろう。背脂は少し掃除し、中に入った脂身とのバランスを保たれている。柔らかさではなく、噛む喜びを感じさせる肉は、この価格帯なら充分だが、もっと豚肉ならではの甘い香りがあると、魅力的なものになるであろう。
衣は油切れよく軽いが、粗目で衣が肉に対して威張りすぎている点が惜しい。ただその分、端の衣が多い部分は、サクサクというよりカリカリと煎餅を齧っているようで楽しかった。
強めの加熱で、やや突っ込みすぎたせいなのか、所々衣がはがれているところがあるのを改善されると、よりいいとんかつに近づくはずである。揚げ油はサラダ油だろうか。これだけの大量のフライものを、コスト的にラードで揚げる訳にいかないのはわかるが、油の香りとコクがもっと欲しい。
仁多米を使ったという御飯はおいしく、甘みを噛み締める、御飯本来の喜びがある。大衆的な当店で、真っ当な御飯を炊かれていることは、高く評価したい。味噌汁は信州味噌系のシジミ汁。香りはやや弱い。お新香は、白菜漬けと胡瓜に沢庵。白菜漬けも胡瓜もトンカツの合いの手として十分なので、甘い沢庵はいらないのではないだろうか。ソースは甘味と酸味のバランスがとれ、くどくなくいい。
からりと揚げられたメンチは、ひき肉が油っこくなく、香りがあって、ソースをかけなくとも、それだけで御飯が進む